ロゴ 第4回蒸し
『お茶の蒸し度と嗜好』
お茶街道

4-2.「蒸熱工程−熱の性質」

4-2-1.潜熱でお茶を蒸す(蒸熱の性質)

蒸し風景写真
手揉み会でお茶を蒸す
撮影/三ツ井稔氏

蒸熱工程で使う熱の性質について説明をしましょう。地方の伝統的な方法でお湯で煮る方法もありますが、一般的には生葉を蒸気で蒸します。なぜ蒸気を使うかというと、最も熱効率が良いから。お湯だと茶葉を入れたときにお湯の温度が下がってしまいますが、蒸気なら必ず100℃を保てます。さらに熱伝達が速く均一に蒸すことができます。蒸気温度は圧力によって変化し、生葉を蒸すのに理想的な蒸気温度は圧力のない100℃の状態です。


温度が高い方がよく蒸せるんじゃないの?

 

潜熱発生までの時間(圧力による比較)

潜熱発生時間grf
ちがうんだな。生葉は蒸気の温度(顕熱)で蒸されるのではなく、気体の蒸気が茶葉に触れて液体に変わる温度が下がるときに発生する熱 、この熱のことを凝縮潜熱といいますが、この潜熱によって蒸されるのです。蒸気は沸騰温度(沸点)より下がるときに潜熱を 発生させるから、温度が高い蒸気ほど潜熱の発生に時 間がかかるんだよ。だからなるべく圧力の低い蒸気で 蒸すんですよ。   

[Point3]生葉を蒸すのは蒸気潜熱

お茶は蒸気の温度そのものの熱(顕熱)が蒸すのではなく、気体の蒸気が液体に戻るときに発する潜熱で蒸される。

ゲージ圧力

飽和湿度 比容積 顕熱量 潜熱量 全熱
(kg/cm3G) (℃) (m3/kg) (kcal/kg) (kcal/kg) (kcal/kg)
0.0 100.00 1.6730 100.09 539.6 639.15
0.2 105.03 1.4178 105.16 535.84 641.01
0.4 109.43 1.2320 106.60 532.99 642.60
1.0 120.13 0.8880 120.44 525.90 646.35

 

2-2.蒸熱工程への影響  


では、ちょうどいい蒸し加減にするにはどうしたらいいの?

 

蒸し度条件-1
蒸し度条件-2


蒸熱機械の設定だね。蒸し度は、左図ような条件が関係し合って工程に影響して決まります。4−1でお話したように、生葉状態の見極めと製品設計をしっかり行ったうえで調整することは、熟練の経験を要する作業なのです。ちょうどいい蒸気の状態で、むら蒸しにならないように間断なく生葉を投入していくには、多くのことが関係し合っていますから。希望どおりの蒸し加減にするための機械調整の基礎知識を勉強しましょうね。

 

 


いろいろ考えなきゃいけないんだね。調整するための基本を教えてください。

 

 

 

次回は蒸熱工程の実践編です。

 

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