ロゴ 第13回乾燥・荒茶
『乾燥と荒茶の保存』
お茶街道

13-3.いい荒茶と仕上げ茶

13-3-1.いい荒茶をつくる

shiba
前回の精揉で「仕上げ映えするお茶」をおしえていただきました。
ここで、柴田先生のお考えとして、いい荒茶とはどんなものかをお話いただきましょう。


前回お話ししたように、消費者に届くまでの間に問屋さんの篩分け・仕上げ・火入れ・ブレンドの仕事があり、その原料をつくるのが生産者である茶農家のみなさんの仕事です。

いい荒茶=仕上げておいしくなるお茶
では、市場に出たときにどんな荒茶が高い評価を受けるのか。好みの傾向は年々変化しますが、品質評価や原料としての優劣は、仕上火入後を想定して判断します。
荒茶の状態では、渋みがあって香りがあまり無いものが、仕上げた時には香り高い上等なお茶になったりします。いい荒茶とは、仕上げたときにいちばんいい状態になるお茶なのです。

生きたお茶を保存
昔は、「生きたお茶を保存する」と言いました。荒茶を変質しにくい状態で保存して、問屋さんがお茶を仕上げて消費者に届けますね。市場に出た時に香りがあって仕上茶のようにきれいな荒茶が、秋になるとまずくなることを「秋落ち」と言います。保存したお茶が死んだお茶だったわけ。「秋落ち」しない生きた荒茶をつくること、仕上げておいしくなる荒茶をつくることが、生産者の基本的な目標ですね。

 

13-3-2.荒茶の評価


問屋さんが荒茶を判断するには、茶の色と水色を重点に見ます。

熱履歴
色を見るのは、その荒茶が茶温を上げずに製茶されたかどうかを見極めるためです。粗揉から乾燥までの製茶工程中で茶温が36±2℃よりも高くなってしまったら、クロロフィルがフィオフィチンに変化して茶が褐色に変色するからです。これを「熱履歴」という。問屋さんが荒茶の色にこだわるのは、この熱履歴を見るためです。
荒茶完成までの工程中、絶対に茶温を上げないように注意しましょう。

 

13-3-3.仕上茶との違い

shiba
仕上火入と乾燥の違いを教えてください。




工程的に言えば、80度以下で乾燥するのが荒茶乾燥。茶温を90度以上にするのが火入。火入によって、含水率は4〜5%から3%程度になります。
仕上火入とは、高温で熱処理して荒茶の悪臭を飛ばし、火入芳香を引き出し、渋味を消す(甘味を出す)という目的で行います。 火入には定義がいろいろあって、関西火入と関東火入、各県によっても火入の温度や時間が違います。好みがあるからね。


shiba
原料として良質なお茶をつくるということですね。
ところで、火入したお茶を保管することはできますか?


窒素ガス封入しても変質を止めることはできません。含水率4%未満に乾燥したらお茶は変質してしまうからね。荒茶の状態で保存して、販売するときにその分だけ火を入れる。直販をする場合でも、せっかくの付加価値を下げるようなことはせずに、仕上げたてのお茶を消費者のもとに届けましょう。

 


仕上げは別の機会に詳しく教えていただきましょう。
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