ロゴ 第13回乾燥・荒茶
『乾燥と荒茶の保存』
お茶街道

13-5.製茶技術の将来について

13-5-1.未来型製茶工場

shiba
柴田先生から、機械製茶の将来についてをおうかがいします。
まず、先生はこれからの機械製茶はどうなっていくとお考えですか?


●将来は工程選択型工場へ?

まず、ひとつ言っておきたいことは、機械発達には2通りの方向があり、多操作を同時にこなす「自動化」。こちらは自動車製造などで行われ、オートメーション発達の主流です。もうひとつが製茶機械発達の方向として選択されている「単能化」。粗揉機1台でやっていたのを葉打機を入れて乾くに従って火炉を小さくし、機械もバネの強いものへと機械を変えていくこと。このように工程をいくつかに分けていくことを単能化といいます。

この単能化が進んだ後は、工程をコース化して選択できるフレキシブルなラインを組む欲求が生まれると考えられます。生葉や製品設計によって、一番合った揉み方というのがありますから、機械が揃っていて工程を選択できれば理想的なのです。

それから、将来の製茶機械の性能については、計測の精度と制御機能がさらに高められることを期待しています。機械の性能向上と多様化への対応が進めば、理論的製茶を行うハード面での条件が整います。あとは、それを茶農家のみなさんが使いこなす技術をもつことですね。

●入口と出口

現在、製茶工場では、どんな生葉を使うべきか、どんなお茶をつくりたいか、この入口と出口は曖昧なままです。とくに、どんなお茶をつくるべきかという情報が、生産者に伝わりにくくなっている。製品プランが無ければ、つくったお茶が流通に適合しない危険性もあります。また入口の部分でいえば、摘採や栽培の計画が無ければ良質茶の大量生産は望めない。この入口と出口を機械製茶にどのように取り込んでいくかが、製茶機械開発の方向性、農業者の将来、両方に大きく関わってくる問題です。

 

shiba
機械のオペレーションについては?


●機械製茶技術を学べ

ここ数年、製茶機械は著しい発達を遂げ、新しい機械や機能がたくさん付加されてきました。新しい機械製茶は、従来型の製茶技術の知識では対応できない機能と操作が多い。生産者も新しい農業者へと変革しなければいけない時代が来ています。 労働の部分は機械がやってくれますから、それを自在に操作して自分の望むお茶をつくる技術をもつこと。そのためには、熱工学や機械のしくみを理解し、機械を使いこなすことが第一歩です。

 

shiba
お茶の品質と茶業経営について一言お願いします。


●品質向上にまだ余地がある

工場再編で大型化が進み、コストダウンが図られてきました。一方で製茶機械の発達により多くの調整が可能になったことから、茶の品質向上には大きな余地が残されています。高品質な茶をつくること、市場で競争力のある茶をつくることに目を向けてほしい。
品質を向上させるためには、製茶技術をもつことです。たとえばお天気や生葉によって機械を調整する、技術に前向きな工場ではいい荒茶ができるはず。高い技術をもって働いた人が多くの収益を得、農業者、経営者、技術者として成功していくのです。


 

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