ロゴ 第6回粗揉-1
『粗揉工程での乾燥と実践』
お茶街道


6-2.粗揉工程の流れ

6-2-1.含水率100%まで乾燥する

shiba乾燥工程全体で、粗揉工程ではどのくらいの水分を取り除くのですか?

 

粗揉工程水分乾燥量
粗揉工程での水分乾燥量

粗揉工程を終了するときには含水率が100%になるまで乾燥させます。たとえば、水分0%の茶に対して400%の水分が含まれているとすると、その4分の3ほどにあたる300%の水分を恒率乾燥します。

 

shiba恒率乾燥は、茶温としとりで勉強しましたね。ではまず、粗揉工程の全体像からおしえてください。

 

粗揉工程とは、茶温が上がって変質してしまうことを防ぎながら、熱風の中で茶葉を撹拌し揉み込むことで恒率乾燥時間を持続させ、お茶特有の色や香りを保ちながら茶葉各部の水分を均一に能率よく乾燥させるために行う工程です。
ここでは粗揉工程での恒率乾燥をもう少し具体的に説明しましょう。粗揉工程と一言で言っても、全体の4分の3の水分を乾燥させるわけですから、茶葉の状態に応じて段階を踏んだ作業が必要になります。では、粗揉工程を3段階に分けて説明しましょう。

 
第1段階−葉ぶるい    

粗揉工程に入った直後は、蒸しあがったばかりの水分の多い生葉ですから、葉の表面についた水分を取り除く「葉ぶるい」という作業から始めます。ここでは、葉が傷つかないように表面水分を取り除くことが作業の目的です。
粗揉機械は熱風量を多くし、葉打ちを行うため回転を速くして表面の水分を取ります。 回転を速くすることで、葉ざらい手がお茶をさらったあと、落ちてくる葉が少ないうちに揉み手が通りますから、葉は揉み込まれません。

最新情報!  
最近、もみ手の無い葉ざらい手のみの機種で、全く新しい使用法として毎分回転数を15〜20回と遅くして、粗揉工程の初期に蒸し葉の汁液を過度に出さないように、軽く緩やかに葉ぶるい操作を行う製法があります。

 

第1図
撹拌1:揉み込み0
もみ手の手前に茶葉がふるわれて、揉み込まれない。
第2段階−揉み込み開始    

お茶の表面から水分が無くなってきたら、葉の中に含まれている水分を少しづつ揉み出しながら乾燥させる工程に入ります。目安は、芽の先端に弾力性が出て、つぶれなくなったら揉み込みを開始すると考えましょう。

揉み込みを始めたら、表面の乾燥速度と中から揉み出す水分量のバランスが取れている状態が理想です。ここでは、熱風量を中くらいにして、撹拌(かくはん)量をやや減らし、揉み込みがされるように回転数をやや落とします。 葉の表面の水分が取れて乾燥してきたら、少し揉み込みがされるようにします。回転速度は葉が胴の頂点から中心に落ちるくらいにします。揉み込むための速度調整は、葉の品質によって異なりますが、もみ手の直前に茶葉が落ちて、もみ手に揉み込まれるようにするのが理想です。

第2図
撹拌1:揉み込み1
表面水分がとれてきたら揉み込みを開始する。
     

shiba
ここまでの工程で、注意しなければいけないことは?


茶温としとりを守って粗揉するために、もっとも注意しなければいけないのは、熱風の調節です。粗揉機に茶温計がついていますから、上乾きやムレが起こらないように気を付けましょう。

それから、お茶の葉が熱風で乾くのではなく、撹拌で落ちるときに風にあたって乾く(蒸散)ということを忘れないこと。

 

 

第3図
撹拌1:揉み込み3
乾燥度合いに応じて、少し揉み込みされるように調節する。

 
第3段階−揉み込み    

水分がとれてきたら、茶の中から水分を揉み出すようにします。手揉み製茶でいう「ころがし」に当たる作業です。機械製茶では熱風量をさらに少なくし、撹拌の量を減らして揉み込む度合いを多くするために回転速度を落とします。

 

第4図
撹拌1:揉み込み4
回転速度を落として揉み込む。

 

shibaでも、蒸しと同じように、生葉の状態や製品設計によって、粗揉工程の組み方もちがってくるんでしょ?

 

もちろんそうですよ。摘み取り時期や育った環境によって違います。原料は、1本の芽をとってみても上の葉と下の葉では違うし、水分の保有状態が異なる茎と葉を同時に乾燥させるわけですから、「茶温としとり」を守って揉むために、生葉の判断は重要なことです。

 

 

粗揉工程の流れをつかんだところで、
次は「
粗揉工程のポイント」です。

 

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シバタ塾TOP 6-1乾燥の目的と理想のお茶 6-2.粗揉工程の流れ 6-3.ポイント 6-4.粗揉機投入量 6-5.粗揉機回転数  

 

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