12月号 1.寒風害の対策
-風の性質を知って効果的な対策を-
防風ネット●12-1-1.寒風害の対策

寒風害の被害を受けやすい茶園や幼木園、自然仕立ての茶園などでは、気象予報や地域特性、立地条件から判断して寒風害の対策を行う必要があります。

寒風害の対策としては、防風垣(ネット)を張る方法があります。防風垣を張るときに注意すべきことは、風の性質と効果範囲、そして安全性です。
防風垣に使うネットは、通風率50%程度の網目(4〜6mm)を使用します。これは防風効果として被害程度の軽減と範囲の両面から考えられた通風率で、網目が粗いと防風効果は得られません。効果範囲を予測して、必要に応じた間隔で防風垣を立てます。そして安全性にも気を配ります。網目サイズと高さによって支柱の強度が求められますから、強風で倒壊しないように十分注意してください。

また、茶園の全面を囲うと破風効果が得られて効果が高まります。その場合、天井部のネットは10mmの網目でもだいじょうぶです。

基本編ロゴ 寒風害を受けやすい所
赤やけ病
ロゴ 寒害の種類


風の性質●12-1-2.風の性質と防風垣の効果

防風垣を立てても、風の性質によってその効果は違ってきます。風が吹き上げる場合は広い効果範囲が見込めますが、吹き下ろしの場合は効果範囲が狭くなります。これは地域によって特徴がありますから、茶園立地と経験から防風垣の間隔を決めます。一般的には垣根の高さのおよそ7倍の効果があると言われています(4mmの場合)。しかし、風の吹き方は立地によるため一概には言えませんが、防風垣の高さ2mとして吹き下ろしの場合は5mくらい、吹き上げの所では10mくらいでいいでしょう。


幼木園の防風垣●12-1-3.幼木園を寒風から防ぐ

とくに被害のおそれが大きいのは、幼木園です。自然仕立ては風による動揺が大きく傷がつきやすいのです。
幼木にとって、寒風害の被害を受けて落葉するのは大きなダメージですから、被害の危険がある立地の幼木園では、資材を投じて対策を立てます。畦間に稲藁や葦を立てて防風垣をつくれば、たいへん効果的です。ソルゴーなどの間作による防風をしている場合は、枯れたソルゴーをそのまま竹で支えて防風垣にするのもいいでしょう。 また、資材や労力面で困難な場合は、ネットで直接覆うだけでも落葉は防げます。直接覆う時には、隙間があるとネットが動いて葉が傷ついたり落葉したりしますから、むしろピシッと掛けた方が良いです。あたたかくなってネットをはずすと枝が曲がっていますが、これは時間の経過で回復しますから心配いりません。

※幼木園の被害はその後の生育に影響しますが、「必ずやるべき」というものでもありません。対策すべきかどうかは、立地における経験から判断してください。

また、風を受ける立地にある幼木園では、整枝によって枝の動揺を抑える方法もあります。この方法は11月下旬頃に枝の1/3〜1/2(徒長の度合いによって異なります)を処理します。一般的に 幼木園は秋整枝を行いませんが、これにより越冬芽の生長を促進して翌年の芽に良い影響を与えます。ただし、整枝時期を逃して12〜1月になったら、やわらかい葉のまま冬を迎えて寒害の危険がありますから整枝をすべきではありません。
基本編ロゴ 落葉が幼木に及ぼす影響
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12月号もくじ 12-1:寒風害対策12-2:寒害対策12-3:一年の反省12-4:組織の反省12-5:目指す方向性

 

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