7月号 6.土壌改良
-土壌の科学性の改善-


科学性イメージ7-6-1.土壌の化学性の改善

土壌改良とは土壌の化学性の改善をすることをいい、土壌診断の結果から過不足を見て行います。化学性の値としては、pH、窒素、リン酸、カリ(石灰)、マグネシウム(苦土)などが主な成分です。土壌改良を行う時期にこだわる必要はありませんが、一般的に秋肥をやる前に行います。

茶樹は酸性土壌を好むため、土壌の酸性度は4〜5(中性=7)が適正で、pHが4以下であれば中和剤を投入します。資材としては、石灰分を含む苦土石灰や有機石灰などが有効です。それから 最近不足が見られるのが苦土(マグネシウム)です。不足している場合は苦土石灰を100〜120kg/10a位投入します。また、過剰の傾向にあるのはリン酸です。測定結果が基準値より高い場合は注意してください。

基本編ロゴ 年間の施肥設計の事例:JA夢咲
(土壌改良の時期)


マグネシウム7-6-2.苦土(マグネシウム)

苦土は光合成において葉緑素の生成に必要な成分です。土壌診断で不足がみられた場合には補充してください。窒素肥料を多量に施すと、苦土が溶脱して欠乏する場合があります。欠乏すると葉が黄化したり、斑点を生じるなど生育不良となり、過剰は、カルシウム、カリウムの吸収が邪魔されます。


カルシウム7-6-3.石灰(カルシウム)

石灰は、植物体内で、主としてイオン状態で細胞の浸透圧、蛋白合成、糖の転流に関係しています。
酸性肥料を投入したときに土壌pHの酸性度が強くなるので与える必要があります。 しかし、苦土石灰を大量に与えると、投入した部分の土壌のpH値が中性に近くなって、根に悪影響を及ぼす可能性があります。診断結果によって大量の苦土石灰を投入する必要が生じた場合には、2回に分けて行ってください。 また、石灰を含む改良材を投入した場合は、他の肥料と重複すると窒素肥料が効かなくなるため、石灰投入後から窒素肥料を与えるまでに2週間以上の期間をあけます(有機石灰の場合は混ぜてもよい)。


微量要素7-6-4.微量要素の改善

土壌の微量要素も茶樹の生育に影響を与えています。微量要素とはマンガン、硫黄、銅、亜鉛、ホウ素などで、これらは天然の土壌に含有されていて、他の投入物と一緒に自然に補給されています。最近では過不足はあまり見られませんが、診断の結果から問題のある数値が出された場合には改善を図ってください。


7-6-5.有機物の供給

土壌に有機物を投入することも土壌改良の重要な作業です。茶園では一年間で相当量の有機物が消耗していきますから、毎年投入する必要があります。有機資材としては、粗大な有機物を多く含む葦やワラをカットして入れるのが好ましく、投入し分解が進み堆肥化したら土壌にすき込むこと。成熟していない堆肥は畦間に広げておいて、ある程度分解が進んだ段階ですき込みます。

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7月号もくじ 7-1:三番茶 7-2:摘採7-3:深耕7-4:干ばつ7-5:土壌診断7-6:土壌改良7-7:秋肥・防除

 

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