7月号 2.三番茶の摘採
-秋の樹勢回復を考えて摘採する-


国立試験場梁瀬氏調査

7-2-1.三番茶摘採は時期を遅らせない

三番茶を摘採する場合の摘採時期は、九州南部早場所地帯で7月上旬から中旬、静岡県で7月下旬から8月上旬頃です。
右の棒グラフは 、三番茶摘採時期を遅らせた場合の一番茶への影響の試験結果です。このように摘採時期が遅れるほど影響が大きいので、摘採時期を遅らせないように。

 

品種
8月1日
8月5日
8月10日
8月15日
するがわせ
869
843
812
730
やまかい
688
628
589
545
やぶきた
763
764
687
695
くらさわ
470
436
405
369
ふじみどり
699
638
625
606

平均
698
662
624
589
指数
100
95
89
84
単位:kg/10a
静岡県茶業試験場
また、三番茶摘採日が一番茶収量に及ぼす影響を品種別に調査したものが右表です(実施場所:静岡県)。8月1日に比べて15日に行った場合の一番茶収量は15%の減収となり、品種によっては20%以上の減収がみられました。摘採時期の遅れについては、埼玉県茶試で行われた試験でも20%以上の減収になるという結果が出ています。また、新芽の全窒素含有量も低下し、品質低下への影響も大きいと言えます。
基本編ロゴ 茶樹の生育状況と三番茶の摘採可否
摘採回数と翌年の一番茶収量

7-2-2.摘採位置は浅めに

三番茶の摘採位置は浅くして強い芽だけを摘採し、弱い芽の先端をカットしないようにします。弱い芽をカットすると、翌年一番茶の生育が抑制され小型芽が多くなります。また、深く刈ると秋の葉面積が十分確保できなくなりますから深さには注意してください。

ロゴ ●4-3-1.摘採の位置

7-2-3.摘採を中止した茶園の管理

三番茶の摘採を中止した場合、二番茶後の遅れ芽や徒長芽が見られる場合は、三番茶芽の生育初期にカットします。
また、生育の良い茶園で秋芽が徒長する恐れがある場合は、摘採を浅く行って芽数の増加と生育の均一化を図ります。「浅く摘採」とは、 三番茶を半分摘採するくらいの気持ちで。その程度の感覚で行えば、三番茶葉がかなり残されるので生育を損なう心配はありません。この作業は、刈り残す茎が肥大し硬化する頃が適期なので普通摘採より4〜5日後に行います。ただし、8月上旬を過ぎた場合は中止してください。

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7月号もくじ 7-1:三番茶 7-2:摘採7-3:深耕7-4:干ばつ7-5:土壌診断7-6:土壌改良7-7:秋肥・防除

 

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