You are here: TOPPAGE 歴史探訪案内 昔ばなし 第13回 長福寺の鐘  

昔ばなし

長福寺の鐘

 むかし、掛川の長福寺に旅の僧が立ち寄り言いました。
「大和の国まで行くのだが、少しお金を恵んでくだされ」。
丁度そのとき大好きな碁を打っていた和尚は、自慢の大鐘を指差して、
「金ならあそこに吊してある。あれでよければ持っていけ」と、からかいました。
旅の僧は、つり鐘堂にあがると鐘を軽々と下におろし、ふわりと肩にかつぎあげて、
「和尚、もらっていくぞ!」
と叫び、西の空に飛んでいってしまいました。
和尚も、うわさを聞いて集まった村人も、おろおろするばかりでどうしようもありません。
 その夜、『役の行者尊(えんのぎょうじゃそん)』をまつった大和の国の大峰山では、ひどい嵐が吹き荒れました。翌朝、村人が外に出てみると、険しい岩山の松に大きなつり鐘がかかっています。不思議がりながら、やっとの思いで近づいてみると、その鐘には「遠江国佐野郡原田郷(とうとうみのくにさのごおりはらだごう) 長福寺鐘天慶七年六月二日」と彫ってありました。
旅の僧が役の行者尊の化身だったと気づいた村人たちは、長福寺の裏山にお堂を建立して、行者尊をまつりました。けれどそれ以来、何度つり鐘をつくっても、その音が寺の外には聞こえなかったそうです。

*参考:『遠江古蹟図絵 全』 神谷昌志著

 

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