11月号 6.幼木の審査
-幼木園管理の技術交流を-


●11-6-1.幼木審査項目からポイント説明


幼木については、成木園の審査と比較して特徴的な部分を説明します。(幼木園の審査基準はこちら→

 

幼木園の耕起
部分は成木園になると耕起できない。
株元に敷草

耕起

茶樹の生長初期はとてもよく根が伸びる時期ですから、根系分布を広げる環境を整える耕起は大切な作業です。根は植え付け後2年目までに30〜40cm程度伸びます。地上部の生長に伴って根も再生していきます。

排水

土壌断面の深さ30〜40cm部分の湿り具合いを調べ、過湿の度合いを審査します。これは茶樹が過湿障害に弱いためで、これから造成する茶園は土壌の過湿に配慮して、排水設備を整えて植え付けする必要があります。

敷草

敷草を株元に施しているかどうかを審査します。幼木時代は畦間が広く、夏場は地表からの水分蒸発が干ばつの要因となります。しかし、畦間全体に敷草を敷くと、冬期の放射熱が期待できないため、凍霜害対策としては株元だけに敷草を施した方が良いです。また、全面に敷くのは、材料を確保するのにたいへん苦労します。

チャノキイロアザミウマ
チャノキイロアザミウマ(成虫)
病害虫

幼木時代の病害虫被害は影響大で、早期成園化を阻害する原因の一番にあげられます。適期適剤の防除を心がけましょう。

根量と根の分布

根量が普通か少ないかの判断は比較対照が無いとわかりにくいので、機会をつくって他の幼木園と比較した方が確実です。また、根の分布は品種によって特徴があり、直立型品種は垂直に開張型品種は水平に分布しやすい傾向にあります。

幼木の分枝

分枝

幼木は植え付けてから5年までの期間で骨格を形成します。側枝の生長を中央の枝と同じ強さにして構成するのが理想。中央を徒長させないようバランスのよい形に仕立てます。また、株張りは分枝と相関します。目標年の株張りを想定して、生育年ごとの分枝をバランスよく進めて樹型をつくっていきます。

ロゴ [4月号-8]幼木園の仕立て
[特集2]早期成園化
幼木園の側芽

側芽

幼木の生長段階では、養分を太い枝をつくる方へと使いたいのですから、細い枝の原因となる側芽を出すのは望ましくありません。側芽が見られるということは成長点が痛められたことを意味します。成長点が痛められた原因として可能性が高いのは、病害虫の被害です。側芽が見られた場合は、原因追求して対策をとりましょう。


●11-6-2.幼木部門に出品する価値

茶樹は経済樹齢が長く改植は数十年に一度のため、幼木園管理について情報交換する機会がどうしても少なくなります。共進会で技術を公開し他地域で茶業を営む人と交流をはかることは、その後の経営上お互いのメリットになると思います。管理技術を継承していくためにも、高い技術をもつ経営者たちの積極的な交流が望まれます。

静岡県茶園共進会幼木部門の審査基準はこちら→
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11月号もくじ 11-1:共進会 成木園の部11-2:栽培方法と地上部11-3:土づくり11-4:根の生育と葉相11-5:生育状況11-6:幼木園審査幼木園の部

 

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お茶街道文化会
主催:カワサキ機工株式会社

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