5月号 1.今年の収穫について聞く
-気温推移と摘採計画への影響-


4月19日牧ノ原にて

5-1-1.昨年からの気象と今年の摘採

4月上旬に鹿児島へ出張してきました。今年の相場展開については、程度はわかりませんが割安感は避けられない状況にあるようです。そうした中でも生産者からは“いいものをつくろう”という品質本位への傾向が見受けられ、高品質なものを安価に提供する努力が感じられました。静岡市場の初取引は4月23日です。市場の相場展開を注意深く見守って「ショウのいいお茶づくり」に努めましょう。

今年の生育については、秋の気温が高めに推移したため萠芽開葉した茶園が見受けられましたが、それほど大きな凍霜害の被害は今のところ報告されていません。一方で1〜2月になって気温が下がり冬らしい気象だったため、茶樹にとっては十分に休眠がとれた良い冬であったと思われます。春の迎え方は寒暖差が激しいようですが、静岡県で萠芽〜開葉期を迎える時期には比較的高温の日が続いたため、開葉までの期間が多少短かったように感じました。春先に曇天が続いて低温に推移すると、芽の生育にとって良い環境ではありませんが、今のところは順調な気温上昇で推移していて早・晩生品種の間隔が出ているようです。茶園巡回した所では場所による生育差も大きく出ており、摘採時期の集中や相場への影響は昨年に比べて少ないように予想されます。しかし今後の気象によって状況が変わりますから、気象の変化に注意して見守りましょう。

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一番茶取引状況5-1-2.気温・茶園・相場の情報をキャッチ!

萌芽期に気温が低くても、開葉期に入ってから急に暖かくなることもあります。一・二葉期に気温が上がれば、摘採時期の遅れはわずかになります。しかし、開葉期に入ってからも低温が続くようならば、摘採時期は遅れることになります。
早場所である九州の出荷(摘採時期)が遅れた場合は、中部地帯の出荷と近づいて価格が高目に推移する場合が多いです。茶商さんは八十八夜に荒茶を確保することを重視するため、4月の相場の動きには特に注目すべきです。


摘採計画5-1-3.摘採計画の立て方について

摘採計画については4月号でお話しましたが、少し補足します。 一番茶と二番茶の摘採の間隔は、およそ45日前後と短い。そして、前述のように早生が遅れるなど一番茶が集中化すると、二番茶はさらに集中化するという現象が起こります。その場合は早摘みもやむを得ない。しかし早摘みをすると、今度は遅れ芽が出やすくなる、といった具合に後々影響が広がります。二番茶の摘採はもちろん、整枝や更新、防除まで含めた摘採計画を立てましょう。

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5月号もくじ 5-1:今年 5-2:二番茶-15-3:二番茶-25-4:更新5-5:整枝5-6:病害虫5-7:干害

 

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